〈パリの思い出 -3- 〉

CATEGORY
日々の気づき

2026.02.26
娘夫婦が用意してくれた家は、パリのメトロ12号線南側の終点
「メリー・ド・イッシー」駅から徒歩10分の場所にあった。

駅からの帰り道には、スーパーやレストラン、パン屋やカフェが並ぶ。
そこを抜けると、グレーの壁に黒い屋根、
立派な門構えの家々が続く静かな住宅街に入る。
歩くだけで楽しくなる、落ち着いた美しい街だ。

朝、娘と孫と三人でパンを買いに行く。
五歳の孫に言われた。
「お店に入るときはボンジュールって言ってね。」
そして一言、「お金はマミーが払ってね!」とちゃっかり付け加える。

店に入ると、孫は「Bonjour, deux croissants, s’il vous plaît.」と笑顔で告げる。

お店のお姉さんは「Oui, deux croissants.」とにっこり。

おぉ…ちゃんと通じているじゃない!
わたしも少し背筋を伸ばし、「Merci」と。

五歳の成長は目を見張るものがある。
すでにフランス語で日常のやり取りができる。

郷に入れば郷に従えというけれど、
会話とは単に言語を覚えることではない。

その土地の空気を吸い、
その文化の中で生き、
人とつながろうとすること。

言葉は道具だ。
本質は、心を開いて関わろうとする姿勢にあるのだと
孫の様子を見ていて思った。