
コーヒーとローゼルの朝
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コーヒーとローゼルの朝
そんなときはたいてい、出かける予定も来客の約束もない土曜日だ。
どうやら、身体が無意識に知っているらしい。
ゆっくりと布団を抜け出すと、夫が淹れてくれたコーヒーの香りが漂ってくる。
いつの間にか、朝のコーヒーは彼の役割になっていた。
おいしいのだから、それでいいと思う。
窓を開け、ひんやりとした外の空気を部屋に入れる。
さわやかな朝を味わいながら、湯気の立つカップを両手で包む。
実は今日は「何もない日」ではなく、仕事がたっぷりとあるのだけれど――
せめて朝くらいは、のんびりと過ごそう。
ローゼルの種を取り、乾燥させてお茶にする準備をする。
指先がしわしわになるけれど、そんな時間がけっこう好きだ。
静かな朝。
小さな手仕事と香ばしいコーヒーの香りのなかで、
今日も一日が静かに始まっていく。
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